外国人技能実習生の失踪を減らすために

チョー

こんにちは、こちらの記事では海外人材の今について書いています。

是非、気になる方は一読お願いします!

今回は深刻化する人手不足に対して、外国人労働者の受け入れが盛んになる中、外国人技能実習生の失踪問題が増加しています。

その問題と失踪を減らすためについてまとめてみました


外国人の不法残留者数について

法務省公表による2021年1月1日現在の不法残留者数は,82,868人。2020年1月1日に比べて-24人、0.03%減少となっています。
国籍別の上位では、ベトナム、韓国、中国、タイ、フィリピンの順に続き、在留資格別では、短期滞在50,092人に続いて技能実習13,079人となっています。
就労が認められた在留資格の中で、在留資格・技能実習の不法残留者数が圧倒的に多く、国籍別で1位のベトナム人技能実習生の失踪が失踪者増加の大きな要因となっています。

外国人技能実習生の失踪
外国人の失踪者の中でも、特に多い「外国人技能実習生」を例題に、以下のポイントに分けて説明していきましょう。
・外国人技能実習生失踪の理由と対策
・もし外国人技能実習生が失踪してしまったら?手続きは?

外国人技能実習生失踪の理由と対策

賃金の問題

外国人技能実習生の失踪理由として最も多いのが賃金の問題です。
監理団体や受け入れ企業が実習生に正当な賃金を支払わずに違法行為を行っている場合と実習生側の賃金設定に対しての理解不足が大きな要因となっています。
外国人を雇用する場合には、最低賃金法に基づいた給与を支払う必要があります。最低賃金に満たない労働条件の契約では、実習生の失踪は増加するばかりです。
実習生を受け入れる雇用側、監理側の不法行為に対しては、2019年法務省は失踪者防止策として以下の項目を実施しています。これらは監理団体と海外の送り出し機関も同様にペナルティを受けることになります。

法務省が定めた失踪者防止策:
◆失踪者が出た監理団体には、一定の期間、新規外国人の受け入れ停止する。
◆賃金トラブルによる失踪の場合、受け入れ監理団体は無期限で外国人受け入れを認めない。
◆外国人技能実習生の在留カード番号をハローワークへ報告することが義務づけられる。

また、雇用側が労働条件に基づいた賃金を正当に支払っていた場合でも、実習生が給与の総支給額の控除について理解できず、トラブルの原因となることもあります。
雇用側と監理団体が、技能実習制度に基づいた正当な契約と実習生への指導、そして実習生が賃金設定について理解できるためのサポートの強化が必要とされています。

不当な労働条件

外国人技能実習機構による監督指導が強化されている一方、労働基準関係法令違反の機関が多発しています。
実習生の監督指導を担当する監理団体に不透明な部分があることは、外国人技能実習制度の仕組みを壊す原因となっています。
実習生が労働条件や職務内容について本人が納得して理解できるように、面接時やその後のオリエンテーション等でミスマッチをなくすための対策が必要となります。
ここでは、労働条件について母国語を交えた説明であると良いでしょう。

実習が修了しても継続して働きたい/帰国したくない

「技能実習1号」の在留期間は1年/「技能実習2号」へ移行して3年/「技能実習3号」へ移行すれば5年間の在留期間が認められています。
実習生が経済的な理由や将来のキャリアを考慮した結果、制度上で定められた在留期間では物足りず、失踪により在留期間切れで不法滞在者となってしますケースがあります。
また実習修了後に帰国したくない理由から失踪してしまうケースもあります。帰国したくない理由としては、本国に帰ってからの仕事や金銭面での不安や悩みから、失踪を考えてしまうようです。
このような失踪者をなくすためには、実習生のメンタルヘルス対策として、普段から悩みや相談を受けることができる体制づくりが求められています。

厳しい指導

日本に来日する外国人は、母国で日本の規律正しさを学び、日本に入国してからも更にレクチャーを受けています。ただ、外国人にとっては日本人の指導は厳しすぎるという意見も出ています。
日本人は、学校教育や家庭内での厳しいしつけが、自然に身に付いているわけですが、外国人が同じように対応することは、日本語を学ぶよりも至難のワザであるようです。
しかし、日本の社会で働いていくためには、この日本特有の厳しさに慣れる必要もあるのですが、外国人にとっては逃げ出したくなる要因にも繋がっています。
また、厳しさが度を超えたハラスメントや暴力などの違法行為に対しては、関係機関や企業に対して、実名を公表するという対応が検討されています。

もし技能実習生が失踪してしまったら?

それでも実習生が失踪してしまった場合には、各種手続きや犯罪防止のためにも警察への相談報告も必要となります。

以下は、外国人技能実習生が失踪した後に行う対応方法です。

監理団体へ報告する

受け入れ企業から外国人技能実習生の就労と生活面を監理している監理団体への報告が必要となります。
また、失踪者に関する 実習生に係っている関係各社、送り出し機関・監理団体・受け入れ企業にての共有作業となります。

警察への相談

外国人技能実習生が本人の意思ではなく、何か事件に巻き込まれた場合の措置として、警察へ捜索願いを提出しておく必要があります。

監理団体から外国人技能実習機構への報告

外国人技能実習生の失踪の報告のために、外国人技能実習機構あてに「技能実習実施困難時 届出書」を提出します。
https://www.otit.go.jp/files/user/docs/abstract_056.pdf
↑「技能実習実施困難時 届出書」のフォーマット

退職手続きをする

外国人技能実習生が失踪し30日経過した場合、雇用保険、社会保険の資格喪失などの退職手続きをすることができます。ただし就業規則に以下の条文が記載されている場合にのみとなります。
※「本人と連絡がとれないまま勤務の意思が確認できず、30日を経過したとき」

給与の支払いについて

外国人技能実習生が失踪前、就業した期間までの給与は支払うことになります。

まとめ

外国人との付き合いには異文化摩擦はつきものです。ただし、コミュケーション不足をいいわけに違法行為によって外国人の雇用を阻害することは認められていません。
また、実習生側の問題に対しては、送り出し国と監理団体が失踪者防止のためのサポートを強化し、実習生が理解してから企業へと送り出す仕組み作りが必要となるでしょう。

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